日本生物学オリンピック カテゴリの記事
2018年3月24日土曜日に岡山大学を会場として、県内中学生・高校生の化学と生物学希望者に対して午前に全体会を10時から2時間、午後は分科会として3時間の説明等をしました。
午前の部では、開会行事の後に50分間で国内予選・国際大会についての説明を行い、また出題される内容と大学進学後の勉強との相関についても説明しました。最後に日本代表への道と題して、過去に指導した生徒の事も含めて説明しました。
午後は、生物分科会として生物学オリンピックを目指す生徒対象として、幾つかの内容に関して説明しました。参加生徒は54名の予定でしたが、4人が欠席しましたが午前中の全体会に参加した生徒の中から、2名が生物分科会に急遽参加しました。僅かな時間で過去問の解説をするよりも、生き物に関する興味を引き出す事が大切だと考え、身近な植物の種子繁殖に関して、概説説明と持ち込んだ種子の観察を通して理解を図りました。持参した種子は風散布種子としてアルソミトラ・シラカンバ・ウバユリの翼果、毛羽を持つガガイモ、小型軽量のモジズリ・ヤセウツボ、構造的風散布種子のナガミヒナゲシの種子散布について考察しました。写真としてフタバガキ・シナノキ・セイヨウタンポポを提示しました。動物散布種子として「引っ付き虫」であるアメリカセンダングサ・コセンダングサ・ヌスビトハギを、貯食種子としてオニグルミを、また写真でガマズミ・クスノキ・ヤドリギ・ホザキヤドリギ・オオオナモミ・チカラシバ・メナモミ・チヂミザサ・ライオンゴロシ(デビルクロー)を提示しました。水散布種子としては写真のみの提示で、オヒルギの胎生種子とエンタダマメ(モダマ)を提示しました。重力散布種子は、果樹としてのリンゴ・ナシについて考察し、また蔓植物の例についても説明しました。最後に自動種子と名付けたカラスムギを持参して、濡らす事で芒が動く事を観察させました。
続いて心臓の位置と、誤解を受ける理由として、左右の心室が拍動の際に血液を送り出す圧力について説明をしました。魚類の一心房一心室の合理性と、陸上化による進化の過程を考察しました。腎臓ではヘンレのループの機能であるアクアポリンと、塩類チャネルの分布について説明し、また皮質から髄質にかけての濃度勾配についても説明しました。
最後に、石井が過去に指導して代表として送り出した生徒に対する指導に関する詳細を語り、全ての締めくくりとしました。
生徒は実に熱心に話を聞き、じっくりと観察し、様々なことについて考察を行いました。とても良い雰囲気の中、講義が進められたことと、生徒たちが集中して参加することができたことから、生徒たちの意識の高さと能力の高さを感じました。(文責 石井規雄)

2018年7月にイランで開催される国際生物学オリンピック世界大会の日本代表を選抜する試験を2018年3月21日(水・休)に実施しました。
代表選抜試験に出題された問題および解答例・解説を公開します。
今回の講座(2017年12月26日(火)〜 28日(木)は、90分9講座でしたので、遺伝子を中心に据えて生物の講義と観察を実施した。
一時間目は、導入として人体の臓器に触れ、その位置や働きについての説明をした。特に腎臓では、髄質における濃度勾配とヘンレのループの機能を中心に説明した。それから遺伝子としてのDNA研究史の概略を解説し、遺伝子を運搬する配偶子について説明し、減数分裂の教科書に書かれてない最も重要な意義について説明した。
二時間目は、持参したツバキの葉の切片作製法を説明し、実習として各自が作成し、スケッチを書くことの意味と意義が分かれば、光学顕微鏡の使い方は概ね理解できることを指導した。
三時間目は、今回参加した数学オリンピック・物理学オリンピック・化学オリンピック・生物学オリンピック・地学オリンピックの共同作業として、「種子の繁殖戦略」の解析を実施した。風散布種子・動物散布種子・水散布種子・重力散布種子・自動種子について石井が概説し、その後生徒による解析と発表が行われた。
四時間目は、真花説を基として、様々な果実を観察して、形成している子房の室数を考察し、元々は葉が変化したものであることから、1枚の葉由来・2枚の葉由来・3枚の葉由来・4枚の葉由来・5枚の葉由来・多数の葉由来を実際に観察して、ミカンの食用部分が葉のどの部分に該当するかを、ツバキの葉の切片と対比させた。
五時間目は、植物の花粉媒介戦略として、風媒花・動物媒花・水媒花を説明し閉鎖花についても説明した。
六時間目は、種子の繁殖戦略について、実際に観察し説明をした。様々な種子の殆どは媒体によって種子を移動させることが分かっており、風を利用する場合に翼を持つもの・小型軽量のもの・毛羽などを持つもの・特殊な器官を利用して効率よく種子散布するものなど多彩であることを理解させた。動物散布に関しては、「ひっつき虫図鑑」が発刊されるくらいにユニークなものがあることも説明した。
七、八時間目は、PCRについて、原理の説明、実験指導および演習問題の解説を行った。まず、生徒らにマイクロピペッターの操作に慣れてもらった後、サンプル調製を行わせ、PCR反応を行った。次に、PCR産物が増幅するまでの待ち時間を利用して、実験結果の予想を立ててもらい、さらに、PCRの原理を正しく理解させることを目的として作成した演習問題を解いてもらった。最後に、PCR産物に対してアガロースゲル電気泳動を行った。
九時間目は、まとめ・国際生物学オリンピック・その他について説明し、特に国際生物学オリンピックに関しては、目的・歴史・日本が参加してからの状況・生徒を指導した実践経過について説明をした。(文責:石井規雄・谷津潤)

ニュース, 国際生物学オリンピック, 日本生物学オリンピック, 関連する催し
都市の微生物と市民の健康
生物学オリンピックOBの石田晴輝・佐藤紀胤さん(東京大学2年)は慶応義塾大学・上智大学の学部生といっしょに研究チームGoSWABで活動しています。公共交通機関など都市環境での微生物生態系やヒトの遺伝子をメタゲノム解析して、環境と生物の関係を探っています。募集期間:2018年4月11日までのクラウドファンディングで、東京都内の駅での微生物生態系の大規模かつ詳細な解析への支援を希望しています。
京大生チャレンジコンテストに挑戦
JBO2014に出場し本選において銅賞を獲得し、日本代表候補となった司悠真さん(現在 京都大学理学部在学)の参加する理学部の5名のチームが「脳でオーロラは聞こえるか」という研究プロジェクトの研究費を 京都大学の支援の元 クラウドファンディングによって集めようとしています。「京大生チャレンジコンテスト(SPEC:Student Projects for Enhancing Creativity)」のページをごらんください。 寄付募集期間は2018年1月31日までです。
ガーナ生物学チャレンジへの貢献
IBO2012シンガポール大会日本代表の荒木大河さんが ガーナ生物学チャレンジをコーディネータとして組織し 大きな貢献をしました。 ガーナ生物学チャレンジは2016年5月にガーナ大学において成功裏に実施されました。大会ではJBOの問題をもとに作られた筆記試験が実施され、さらに参加者はガーナ大学での電気泳動体験セッションに参加しました。将来は国際生物学オリンピックへの参加を目指しているとのことです。
学術クラウドファンディングに挑戦
IBO2014インドネシア大会日本代表の那須田桂さんらの学生チームが、合成生物学の国際大会であるiGEMに「細胞分裂で色が変わる大腸菌を作りたい!」というテーマで参加を目指しています。iGEM参加のための費用を学術クラウドファンディングにより調達しました。 (達成率174%)
なおiGEMには IBO2007カナダ大会日本代表の本多健太郎さんはじめ 下のリストにしめすように多くのOBOGが参加してきています。iGEMは学生の国際的なコンテストであるばかりでなく、合成生物学のライブラリであるBioBrickに貢献していることでも注目されています。
UT−Tokyo チーム
2010 仮屋園遼、本多健太郎
2011 泉貴人、海老沼五百理、濱崎真夏
2012 海老沼五百理、大塚祐太、水口智仁
2013 海老沼五百理、大塚祐太、水口智仁
2014 中村絢斗
2015 中村絢斗、那須田桂
2016 那須田桂、真田兼行
Oxford iGEM
2016 石田秀
2017年8月19日から22日の日程で、日本生物学オリンピック2017 本選・広島大会が開催されました。詳しくは本選のページをご覧ください。
本選での予備体験、出題された問題、解説を公開しています。
2017年7月21日(金)に科学技術館にて第28回国際生物学オリンピック(IBO2017イギリス)日本代表団 結団式がおこなわれ、その後、代表団はイギリスに向けて出発しました。


八杉貞雄・JBO運営委員長

松田良一・チームリーダー

お茶の水女子大・近藤るみ先生

米田梓・文科省 人材政策課 課長補佐

吉田忍・JSF専務理事

OBOGによる激励

JBO非公式応援団長

バスで成田空港 へ出発

第28回国際生物学オリンピック 日本代表(五十音順)
|
氏 名 |
フリガナ |
性別 |
在学校(所在地) |
学年 |
|
池田 亘孝 |
イケダ ノブタカ |
男 |
筑波大学附属駒場高等学校(東京都) |
高3 |
|
江口 彩花 |
エグチ アヤカ |
女 |
桜蔭高等学校(東京都) |
高2 |
|
佐藤 源気 |
サトウ ゲンキ |
男 |
滋賀県立膳所高等学校(滋賀県) |
高3 |
|
津島 彰悟 |
ツシマ ショウゴ |
男 |
武蔵高等学校(東京都) |
高2 |
JBO引率者
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氏 名 |
所 属 |
参加形態 |
| 齋藤 淳一 | 東京学芸大学附属国際中等教育学校 教諭 |
ジュリー |
| 松田 良一 | 東京大学大学院総合文化研究科 教授 |
ジュリー |
| 浅見 崇比呂 | 信州大学学術研究員 理学系 教授 |
ジュリー |
| 太田 一寿 |
長崎国際大学薬学部 准教授 |
ジュリー |
| 工藤 光子 |
立教大学理学部 生命理学科 特任准教授 |
ジュリー |
| 笹川 昇 |
東海大学工学部生命化学科 教授 |
ジュリー |
| 杉山 宗隆 |
東京大学大学院理学系研究科・理学部 准教授 |
ジュリー |
| 鈴木 石根 |
筑波大学植物代謝生理学 教授 |
ジュリー |
| 野口 立彦 |
防衛医科大学校生物学教室 助教 |
ジュリー |
| 長谷川 雅美 |
東邦大学理学部 教授 |
ジュリー |
| 和田 洋 |
筑波大学生命環境系 教授 |
ジュリー |
| 岩間 亮 | 東京工業大学科学技術創生研究院 博士研究員 |
ジュリー |
| 荒木 大河 | Wesleyan University |
ジュリー |
日本代表団 日本代表の日程
7月21日(金) 集合・結団式【科学技術館】 成田泊
7月22日(土) 成田空港発・イギリスへ バーミンガム着 バーミンガム泊
7月23日(日) コヴェントリー着 大会登録、開会式
7月24日(月) 実験試験会場視察、エクスカーション
7月25日(火) 実験試験
7月26日(水) エクスカーション
7月27日(木) 理論試験
7月28日(金) エクスカーション
7月29日(土) 閉会式
7月30日(日) コヴェントリー発・成田へ
7月31日(月) 成田着 午後文部科学大臣へ表敬訪問(予定)
3,849名(女性:2,099名、男性:1,750名)が日本生物学オリンピック2017 予選に挑戦しました。
日本生物学オリンピック2017の詳しい情報を掲載しています。
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国際生物学オリンピック2017 イギリス大会日本チームを対象にして 以下のようにお茶の水女子大学にて第二回特別教育を実施しました。
日程:2017年5月3日(水)~5月5日(金)
場所:お茶の水女子大学・理学部
指導責任者 齋藤淳一 東京学芸大学附属国際中等教育学校 教諭
会場責任者 近藤るみ お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科 准教授
5月3日(1日目)
8:30~12:30 「細胞生物学」理1-521
宮本泰則、TA 大西真紀子 :動物細胞の観察、細胞接着分子フィブロネクチンによる細胞伸展の観察、細胞骨格
「発生生物学」理1-521
線虫の植え継ぎ作業
13:30~18:00 「動物生理学」共3-307
最上善広 TA :カエル神経筋標本の作成、活動電位の測定

5月4日(2日目)
9:00~12:30 「実験発生学」理1-521
服田昌之 :ウニの受精、発生の観察、割球分割実験
13:30~18:00 「酵素活性の測定」理1-521
加藤美砂子、TA 小山香梨、行田綾乃 :酵素活性の測定、ピペットマンのハンドリングの練習
16:30~18:00 「モデル生物の観察」理1-521
近藤るみ :ショウジョウバエの胚の観察

5月5日(3日目)
9:00~12:30 「植物系統分類学」理1-521
嶌田智:C3, C4植物のプレパラートの作成、観察
13:00~14:30 「実験発生学」理1-521
服田昌之:ウニの発生の観察、考察
14:30〜16:00 「モデル生物の観察」理1-521
佐藤敦子: 線虫の観察
2017年4月30日に、佐賀県で唯一理数科を持つ佐賀県立致遠館高等学校にて、生物学オリンピック合同学習会を実施しました。午前の部は生徒に対しての学習会で、致遠館高校が行っているSSHの一環として他校にも案内をして行われました。参加生徒は6名で、全員が致遠館の生徒でした。

内容として初めにIBOの紹介をしました。特に参加する意義として、多くの知識を持つ事が必要である事や、実験技術の基礎を身につける必要、更に様々な知識を総動員して考察する楽しさを予め体験しておく等は、将来の研究者を目指す際の必要不可欠な要素であり、オリンピックはあくまでも通過点である事を説明しました。そして、国内大会で顔を合わせる全国の生徒との交流は、生物好きの集まりであること、国際大会では世界の生徒との交流があること等を話しました。次に過去問に触れ、見方を変えることで解答に近づくことを説明しました。生態学的な考察問題として、カラスムギの種子を見せました。初めに乾燥標本をそのままの状態で見せましたが、当然面白さに気づく生徒はいませんでしたが、次に水を含ませて生徒に見せると、いきなり動き出しますからその面白さに釘付けになりました。また佐賀県内でも見られるナガミヒナゲシの繁殖戦略について、昨年採集した乾燥標本を見せて、種子の散布形態の考察を行いました。最後に実技指導として、ツバキの葉の切片作成について体験をしてもらいました。通常行われる葉の横断面の切片作成に加え、葉の裏面にある気孔観察の為の、表面を削る様に行う切片作成方法も指導しました。生徒は、実に熱心に参加し、生徒の意識の高さを伺うことができました。

午後は教員対象の学習会を実施しました。致遠館高校の教員三名ともう一人の教員が参加して、和気藹々とした雰囲気の中で実施できました。
ここでは、生物学オリンピックに向けた取り組みを私自身が行った経緯も紹介しました。教員として勤務した学校と、その中で実施した生物教育についてお話しし、現役最後に勤務した学校でのSPPの取り組み・オリンピックとの出会い・本選試験問題の作成・校内での特別教育の内容をお話しし、二人の日本代表生徒の指導についてもお話ししました。
国際生物学オリンピックに関しては、日本が参加してからの内容と、世界の生物教育のレベルが日本を上回っている事実についても説明しました。その中で我々教師がどの様にして実力を身に付けるかという事も説明しました。
よく知られている春の七草から、幾つかの設問を用意しました。先ずは七草の中に、日本に古くからあったのではなく、外国からもたらされた植物三種類についてお話ししました。スズナ・スズシロは容易に想像できますが、ナズナについては分かっていませんでした。生物の教科書でナズナが取り上げられるのは、胚の発生・同義遺伝が思いつきます。同義遺伝で説明される槍型の果実を日本で見た事のある人は、いても稀ですが教科書に記載されている事から当然あるはずです。日本で見られないのは、元々日本の植物ではないからです。教えている教師が、当然気付いて当たり前の事実を、気付くか気付かないかで、生態的な見方が出来るか出来ないかが分かれる事を理解して貰いました。
生徒対象・教員対象共に熱心に受講して頂き、充実した時間を過ごせた事に感謝します。
(文責 石井規雄)
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