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JBO本選出場者インタビュー:髙橋航さん

出場者インタビュー, 日本生物学オリンピック

※所属・学年は、2022年1月の取材日現在のものです

髙橋航さん
所属:
筑波大学生物学類3年
出身:
山形県立鶴岡南高等学校
出場:
JBO2018 東京

Q:今は何をしていますか?

今は筑波大学生物学類の3年生で、来年から卒業研究が始まるんのですが、原生生物の多様性や系統分類などの研究をしようと思っているので、顕微鏡をひたすら覗くことになると思います。
サークル活動などについては、高校生の頃に情報オリンピックに参加したことがあったことがあるので、その延長で趣味で競技プログラミングをやっていて、サークルもそういったものに入りました。

Q:JBOをどうやって知りましたか?

数学オリンピックが有名なので知っていて、高校1、2、3年のときに出場したのですが、他にも何かオリンピックに出たいと思って調べたら検索でJBOがヒットして、そこで知りました。
高1は数学オリンピックに出て予選落ち、高2年の時は数学オリンピックと情報オリンピックと地理オリンピックの3つに出て3つ全部予選をしました。数学オリンピックでメダルを取りたかったのですが、どうやら無理そうだということで、色々受けてみようと思って高校3年のときにで物理チャレンジ、化学グランプリ、生物学オリンピック、地理、地学、情報、数学、ひと通り出て、生物以外は予選落ちしました。笑
生物学オリンピックはどちらかと言うと思考力を重視される傾向にあると思うのですが、数学は思考力は当然のように要求されてそのうえで発想力の方を重視するような傾向にあって、数学と情報は「天才以外お断り」のパズルコンテストの様相だというイメージを持っています。

Q:JBOに挑戦したのはいつですか?

生物学オリンピックは高校3年生の時に参加して、初参加で2018年のJBO本選 東京大会にも出場しました。

Q:どんな勉強をいつからしましたか?

高校時代は物理化学の選択だったので、生物基礎を高校1年生の時にやっていた程度だったのですが、高2年の冬に同じ物理選択だった友達が間違えて買った生物の教科書を貰い受けて、学校で使っている教科書、資料集と問題集のものをその冬からやり始めました。
勉強方法としては、教科書の1章分を通し読みしてその後で学校で配られているワークを解くという方法で、予選の直前にあたる高校3年の7月に教科書は高校の範囲を一冊読み終えて、過去問は直前の年の問題を、時間は計らずにどんな問題が出るのかなという確認の意味で一通りやりました。
数学オリンピックの勉強を2年間やっていたので、思考力に関してはその過程十分に勉強してあり、あとは生物の知識を入れるだけだったのだと思います。ですので「考える問題が解けない」と思ったら、ひょっとしたら数学オリンピックや物理チャレンジの過去問を解いてみると良いかもしれません。そういう経験の土台があるか無いかは大きいと思います。
勉強していて分からない箇所は資料集(スクエア最新図説生物NEO)を開いていました。これはおそらく、隅々まで読み込めば本当に生物学オリンピック本選レベルでも対応できるだけでなく、所々キャンベルより詳しく書いてような箇所もあると思います。推薦図書にキャンベル生物学とありますが、あの分厚い教科書を使って勉強して受けるのは日本代表まで残りたい人だけだと思います。笑
もし資料集で足りなければネット検索が有用でした。例えば日本植物生理学会のホームページに「みんなのひろば」というコーナーがあり、そこに詳しく書いてあるので、植物生理学系のことで分からなかったら日本植物生理学会のホームページを確認していました。
僕は物理化学選択だったので高校の先生に聞くことができず、分からないところがあったら自力で解決するしかなかったので、そういう勉強法になりました。
部活は科学部に所属していていたので、実験データを見て考察するということに取り組んでいたことも大きいかもしれません。チームでテーマを1つ決めて研究活動をする伝統ある部活で、物理班では力学系の、球を転がすような研究をやって学生科学賞の山形県大会で最優秀賞も受賞しました。

Q:周りにもJBO受験者はいましたか?

友達を何人か誘ったのですが、誰も受けてくれなかったので(笑)僕の代では一人だけでした。

Q:受験勉強との両立はどうしましたか?

受験勉強は正直何も考えていませんでした。笑
数学と理科はできたのですが、国語と英語が致命的にできなくて、勉強してもこれ以上は理系科目を伸ばすのは無理だと思ったのですが、文系科目の勉強はやりたくなくて、それでも入れる大学を狙おうと思って受験しました。
オリンピックの直前に東北大オープン模試も受けたのですが、数学と生物と物理はそこそこできたのに、英語が全くできず、100点満点中8点でしたが(笑)それでも理学部はA判定を取れたので、もう英語はやらなくていいやと。このままでいけるって思ってしまいました。
今でも英語は苦手で、論文を読むのもGoogle翻訳に結構頼ることが多いです。

Q:大学進学(推薦入試、AOなど)に役立ちましたか?

役に立ちました。筑波大学には国際科学オリンピック特別入試というもので入学しました。これはズバリ生物学オリンピックの成績を使う入試方式で、志望理由書と生物学オリンピックの点数のコピーと面接だけで入れるという、実質的に生物一教科で国立大に入る方法があって、それを使って入りました。この方法で入学した同期は僕の他にもう2人います。

Q:JBO本選の成績はどうでしたか?

銅メダルでした。上位40人までメダルを貰える中の、ちょうど40位で銅メダルもらいました。ギリギリセーフです。笑

Q:大学受験(筆記試験)に役立ちましたか?

筆記試験は受けていないので確かなことは言えませんが、生物学オリンピックの受験によって明らかに生物の力は伸びた感覚はありました。

Q:JBOに挑戦して良かったことは何ですか?

当然ながら生物の力が身に付いたことは大きいと思いますが、それだけではなく、生物学オリンピックを通して友人が何人もでき、また大学で同じオリンピック入試の友人が
いるというのはありがたいですし、地方の高校だとそういった本当に頭の良い人と関わる機会はあんまり無いのですが、そういう環境の中ではかなり刺激になったと思います。

Q:現役挑戦者へのエール!

とりあえずチャレンジすることは大事だと思います。何回も予選落ちした経験から言えることは、①教科書の、出題範囲を全て終わらせずに受ける。②過去問を、時間を測って解かずに受ける。この二つのどっちかをやると確実に予選落ちするので、やめた方がいいと思います。
数学でもなんでも、一通りはやって、挑戦するべきだとおもいます。僕は高校で物理をやっているし、部活でもやっているから大丈夫だろうと思って受けたら電磁気の分野の理解が甘く、そこで点を取れなくて予選で落ちましたし、化学の方は時間を計らないと到底間に合わない分量なのですが、時間配分を考えずに受けたらあっさり落ちました。
そういう過去があるので、過去問を時間を計って解くこと、出題範囲を一通り押さえること、この2つをやらずに予選を突破するのは難しいと思います。

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JBO本選出場者インタビュー:本屋敷健太さん

出場者インタビュー, 日本生物学オリンピック

※所属・学年は、2022年1月の取材日現在のものです

本屋敷健太さん
所属:
九州大学 理学部 生物学科2年
出身:
修道高等学校
出場:
JBO2019 長崎

Q:JBOをどうやって知りましたか?

高校の先生から「受けてみないか」と勧めがあって知りました。おそらく僕が生物好きだということを知った上で話の中で勧めてくださったのだと思います。高校3年生が初参加なので、準備期間もかなり短いと思います。

Q:どんな勉強をいつからしましたか?

学校の勉強と並行して教科書を読み込んだり、学校で渡された資料集を読んだり、問題集を解いたりという勉強法でした。先生から「自信のある科目を作れ」と言われた時期で、やりたいことを先生からすごく応援してもらえる環境だったこともあり、当時は他の科目のことは一旦忘れて、他の科目の勉強をしなければならない時間も「一回も生物に集中しよう」と思って取り組みました。
JBO予選の過去問については、7年分ぐらいを使って1、2周ずつは解いたと思います。最初は過去問を解いては調べ、資料集で足りない知識を補ってというサイクルで、1回あたり2〜3時間とかなり時間をかけたと思いますが、繰り返しているうちに試験時間に収まるようになりました。JBOの解答解説がわかりやすく、まずはそれで理解を深め、どうしても分からなかい部分は極力自分で調べるようにしていました。意外と資料集に載っている話も多く、教科書の定義の話などをきちんと捉え直せばなんとかなりました。
キャンベル生物学については、本選に出場して初めて存在を知りました。「なんでみんなこんな分厚い本を持ち歩いているの!?」という感じですごく驚いたことを覚えてます。

Q:周りにもJBO受験者はいましたか?

学校でJBOに挑戦したのが僕一人だったので、本選に行って初めてJBoを受験するような人に出会いました。

Q:受験勉強との両立はどうしましたか?

元々生物系の学部を受けようとずっと思っていたので、受験勉強の延長としてJBOを捉えてました。
東大京大だったり、他の旧帝大でもら記述式の問題が多いので、そういった試験に向けたトレーニングの、少し違う方向からの練習という感覚で捉えいました。
東大とかになってくると知識を問うだけの問題が全然ない状態で、文章を読んで回答する問題が増える印象があるので、JBOのように問題形式で新しい知識が入ってくることがすごく嬉しかったので、他の科目はJBOの本選が終わってからようやく頑張り始めたといっても過言ではありません。笑
もちろん、学校の授業は受験を意識した内容になっていて、授業中に大学入試の過去問を解くこともよくあったので、そういう面ではJBOの勉強をしている期間は他は手が付かなかったということは無かったと感じます。

Q:大学進学(推薦入試、AOなど)に役立ちましたか?

少し悩みましたが、結局「いいかな…」という結論になったので役立てて、、いません。笑
九州大学は後期で受けて、前期は阪大を受けました。JBO特有の入試だと筑波大学などが良いとは思いますが、僕は医療系と生物の進化系を融合したような分野に興味があり、そういったことができそうな大学にはJBOの成績を使えるところが見つからなかったので、そういう結論になりました。

Q:大学受験(筆記試験)に役立ちましたか?

すごく役立ちました。筆記試験では高校生物で出てくる情報をバックグラウンドに、初めて出てくるような知識や考え方を、文章から読み取って限られた時間内に解かなければならないというのが難しいポイントだと思います。そういう問題に向き合う時にJBOで付けた癖は、実際にピペット操作を身につけるように、手を動かした経験というか、思考回路的な意味で、すごく知識が体系化したように思います。
他の科目でいうと、国語は多少伸びたかもしれません。勉強をする際に論理的な説明をする必要があり、きちんと理由付けをしなければならないので、そういった経験が役立ったように思います。

Q:今振り返ってJBOに挑戦して良かったこと

本当に自分の中で自信がつきました。それまではなんとなく受験に向けて勉強していたのと、将来の夢もボヤっとしている中でJBOの本選に出たことで、僕の中で「自分はこれだけ生物ができるんだ」という自信がついたことは嬉しかったです。
もう一点は、やはりなかなか普段出会うことができない人に出会える機会があるというのは感じていて、いま僕は九州大学で合成生物サークルの代表をしているのですが、そのサークルの創設者の方が僕がJBO本選に参加した時にちょうどSCIBO(学生スタッフ)として参加していた方で、その方とお話をする機会があった時に「合成生物のサークルに入ってみないか?」と誘われて今があります。これはJBOに挑戦していなかければ無かったであろう出会いだと思います。

Q:現役挑戦者へのエール!

まず僕はJBOのことをあんまり知らなかったので、まずはぜひ知ってもらいたいと思います。そして頑張ってほしいと思います。
参加をすれば本当に楽しい仲間たちが待っていますし、楽しい先生たちからの挑戦状(笑)もあると思うので、そういったことを楽しんで取り組んでもらえたら良いなと僕は思います。

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JBO本選出場者インタビュー:星野敬太さん

出場者インタビュー, 日本生物学オリンピック

※所属・学年は、2022年1月の取材日現在のものです

星野敬太さん
所属:
東京大学 農学部 1年
出身:
栄光学園高等学校
出場:
JBO2017 広島JBO2018 東京IBO2019 ハンガリー

Q:今は何をしていますか?

東京大学の学部1年生で、推薦で入ったので農学部に行くことは決まってます。いまは試験勉強に追われています。笑

Q:JBOをどうやって知りましたか?

学校に貼ってあるポスターを中一の時に見たのが一番最初だったと思います。

Q:JBOに挑戦したのはいつですか?

中3と高1の時に本選に参加しました。

Q:どんな勉強をいつからしましたか?

きっかけは自分でもあまり分からなくて、中1の時は特に生物が得意だったわけではありませんでしたが、冬に本屋に行った時にその場のノリで高校生物の参考書を買って、往復2時間ほどの通学中に電車の中で参考書を読んでいたらほぼ独学で本選に参加できたという感じでした。その時使っていた参考書はシグマベストの「理解しやすい生物」というもので、今はもうボロボロになっていて押入れにしまってある状態です。
他の方が使っているような高校の教科書とか図説は高校に入ってから貰える物なので、中学生の間は無く「理解しやすい生物」一本で勉強をして、一番最初の予選を突破しました。
高校生物を大体理解してれば本選には行けると思いますが、JBOの問題は思考力を試す問題が多いので、そういう意味では高校生物を100%理解していなくても思考力のゴリ押しで高得点まで持っていけることもあると思います。知識重視ではないと思います。
中3で本選に出たときに敢闘賞で、ちょっと悔しかったのでキャンベル生物学を買ってそれを中心に勉強しました。キャンベルは分厚くて持ち運びが厳しいので、カッターで何冊かに分けて厚紙で挟んで製本テープでまとめて、という具合です。
過去問については遠い記憶なので曖昧ですが、5年分ぐらい予選問題を解いたと思います。

Q:JBO本選の成績はどうでしたか?

中3の時は敢闘賞で、高1の時は銅賞でした。高1で参加した時に選抜メンバーの15人に選ばれて、その後日本代表としてIBO2019ハンガリー大会に出場しました。IBOでも銅賞だったので、銅賞に愛されてしまったとしか言いようがありません。笑

Q:周りにもJBO受験者はいましたか?

同級生に僕の翌年に日本代表になった人が1人いて、その人はIBOに参加して金賞を取りました。
生物学オリンピックの勉強に向けて切磋琢磨した、という訳ではありませんが、科学の甲子園という大会で僕と彼とが生物担当になっていたので、そこで協力し合う関係でした。

Q:受験勉強との両立はどうしましたか?

高3の頃は受験勉強が第一で、生物の勉強は後回しになっていた節があるので、受験勉強には集中できていました。
高2でIBOに出たために次はもう出ることができず、高3で本選に行くことは可能でしたが、その年の予選開催日に模試が重なってしまい、模試を優先してしまったので、その年は本選にも出場していません。

Q:大学進学(推薦入試、AOなど)に役立ちましたか?

役立ちました。東大の推薦を使いましたが、その推薦要件として生物学オリンピックは分かりやすく使えるので、それで出しました。
僕はバイオマスプラスチックや生分解性プラスチックに興味があるので農学部に出願しましたが、そこで生物の知識があることを伝えられるので良かったと思います。
JBOの成績を推薦入試で使えることについては、日本代表に決まる頃には知っていましたが、それが目的でJBOに挑戦した訳ではないので、結果論のようなものです。

Q:大学受験(筆記試験)に役立ちましたか?

役立ちました。生物の背景知識がたくさんつくと思うので、受験の内容も定着しやすいと思います。
生物の大学入試は記述が多いので、その対策は個別に必要だと思いますが、内容を理解するという点においては大学受験の生物もJBOの生物も変わらないと思います。

Q:JBOに挑戦して良かったことは何ですか?

大学に入ってからもJBOの繋がりがあって、僕は現在iGEMという合成生物学、例えば大腸菌や酵母の遺伝子を組み替えて社会的な問題を何か解決しようという世界大会に挑戦するチーム、サークルに入っているのですが、そのメンバーにJBO経験者が多くて、そうした繋がりが今もあると感じています。

Q:JBO本選の思い出を教えてください

コロナ前の話にはなりますが、大会期間中に交流会があり、参加者の中で漫才を披露してくれたりとか、多才な人がたくさんいたのが印象的で楽しい思い出がいろいろできました。

Q:現役挑戦者へのエール!

生物は暗記科目だと思われがちですが、本当に面白い生物学は暗記した後から始まるので、最初の暗記の部分は嫌でも耐えて(笑)その後に待っている面白い生物学を期待して頑張ってください。

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JBO本選出場者インタビュー:千代田創真さん

出場者インタビュー, 日本生物学オリンピック

※所属・学年は、2022年1月の取材日現在のものです

千代田創真さん
出身:
海城高等学校
出場:
JBO2015 広島JBO2016 つくば

Q:JBOをどうやって知りましたか?

中2の夏休みに創造性の育成塾っていう、合宿形式で全国から3, 40人ぐらいの中学生が集められて1週間程度色んな先生の講義を受けるという催しがあり、その時にJBO委員の松田良一先生が授業にいらしていて、その時に色々話を聞いていつか出てみたいと思ったのがJBOとの出会いでした。
高校は生物部だったのですが、生物部の1つ上の先輩と2つ上の先輩がJBO本選に出ていて、そこから影響を受けて受験したというのも大きいです。

Q:JBOに挑戦したのはいつですか?

初めて予選を受けたのは高1だったと思います。その時は予選落ちで、高2、高3と受けたときは本選まで出ることができ、両方とも銅メダルでした。
高2の時は代表候補の15人にも入ったので、その後のセミナーにも参加しました。

Q:どんな勉強をいつからしましたか?

中3の頃から勉強していましたが、まずは高校生物を勉強しようと思い、学校の先生に相談して高校1年生向けの講習に中3生として参加させてもらったり、生物部では周りにも受験者がいたので、そういう人と一緒に過去問で勉強したり、先生に大学の過去問でJBOに形式が似てる問題を探してもらって自分で解いてみたり、キャンベル生物学を買って少し読んだりとか、そんなようなことをしてました。
JBOの過去問はネット公開されている分は一通りやったと思いますが、それを軸に勉強していたというよりは、予選を受ける1ヶ月前頃から時々解いて自分の実力を確認する目的で使っていました。
高3になる頃には授業でも生物を受験勉強としてやっていたので、高3で受けた時は特に生物学オリンピックのための勉強はしていませんでした。

Q:周りにもJBO受験者はいましたか?

高校の生物部の同学年には受験者はいませんでしたが、一つ上の学年で仲良くしてもらっていた先輩2人がJBO本選経験者だったので、その2人の先輩方に引っ張ってもらうような形で、わからない部分の質問などに付き合ってもらっていました。

Q:受験勉強との両立はどうしましたか?

生物学オリンピックのために高1、高2ぐらいから受験生物の内容も含めて生物の勉強していたので、むしろ高3になってからはあんまり生物の勉強をしなくても良くなっていて、他の教科の勉強に時間を割けたという意味で、生物学オリンピックに早めに挑戦しておいて良かったと思っています。なので高3になる頃には両立が大変という感覚は全くありませんでした。

Q:大学進学(推薦入試、AOなど)に役立ちましたか?

僕はそういうものは使っておらず普通に受験をして大学に進学したので、役立たなかったと言うと言い過ぎですが、そうした制度を使うつもりはありませんでした。
あわよくば使おうかと思ったことはありましたが、推薦枠は学年に1人、2人とか校内でも枠があったので、同学年にいた地学オリンピック出場者が成績も優秀だったことから、自分は溢れるだろうことが予想できたので、普通に受験しようと考えていました。

Q:大学受験(筆記試験)に役立ちましたか?

生物に関しては生物学オリンピック関係で前々から勉強ができていたので、そこは大学受験でも大いに役立ったと思います。
他の教科については、生オリを通じて伸びたという感覚はありませんでした。

Q:JBOに挑戦して良かったことは何ですか?

大学に入ってからもJBOでお世話になった松田良一先生など、東大の先生には入学後も研究室にお邪魔するなどでお世話になりましたし、一緒に出場して代表候補で同じだった同期とも繋がりがあって、生物に関する面白い授業や講演の情報をやり取りできました。そうした新しい人間関係ができたのはすごく良かったと思います。

Q:JBO本選の思い出を教えてください

僕は昆虫など身の回りにいる生き物が好きなところから学問としての生物学を面白く思うようになったタイプで、僕は昆虫の標本などをよく作っていたのですが、高3でつくば大会の本選に行く時にSNSで事前に、同じ出場者の中に古生物が好きな子がいることを知り、お互いに標本を会場で見せ合おうという話になったので実際に昆虫標本を1箱、本選会場に持って参加しました。そして夜の自由時間にその古生物好きの子と直接お互いの標本を見せ合うことができたのがすごく楽しかった思い出です。
他にはそういうタイプの人はあまりいなくて、2回出場しましたが1人、2人にしか会わなかったので、そういう人が行けば必ず楽しめる場所というわけではないと思いますが、僕の時はたまたまそういう人がいたので、すごく良かったです。

Q:現役挑戦者へのエール!

高校の時の一番の思い出をあげるとしたら生物学オリンピックを目指すために勉強したり実際に出場したりということだと思います。JBOに参加することで大学進学後も色々な繋がりができますし、JBO本選自体もすごく良い思い出として残ると思うので、ぜひ頑張って勉強して本選出場ならびにその先の代表候補、代表を目指して色んな人が頑張ってくれると良いと思います。

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JBO本選出場者インタビュー:阿坂玲さん

出場者インタビュー, 日本生物学オリンピック

※所属・学年は、2022年1月の取材日現在のものです

阿坂玲さん
所属:
滋賀医科大学 医学部医学科 5年
出身:
四天王寺高等学校
出場:
JBO2015 広島

Q:今は何をしていますか?

滋賀県の滋賀医科大学の医学部医学科5年生です。

Q:JBOをどうやって知りましたか?

生物部に入っていたのですが、部の先輩が個人で受けていて初めてJBOの存在を知りました。部の仲間と私達も受けてみようという話になり、高校1年生から毎年挑戦し、高校2年の時に2015年のJBO本選、広島大会に出場しました。
JBOへの挑戦にあたって学校の先生から後押しがあったわけではありませんでしたが、私たちが受けたいと伝えてからは色々と協力していただきました。

Q:どんな勉強をいつからしましたか?

当初は先輩が一人で受けていたのみで、それ以外は情報が何もない状態でした。
ある時、関西地区の生物部で交流会をする話をいただき、私達も参加させてもらいました。そこにはJBO本選出場者やIBO経験者も出る学校からも参加があり、やり方を聞くと、JBO経験者をコーチ役にして下級生に勉強を教えているという話でした。私達の学校にはコーチ役がいなかったので、それは顧問の先生にお願いして、例えば東京理科大学の生物の入試問題とか、教材を用意してもらい、事前に解いてきて解説してもらうということを月1、2回ずつ行っていました。そうした教材は、考察を相当しっかりしないといけない問題が多く、すごく難しい印象がありました。
キャンベル生物学については、本選に出場して初めて存在を知ったぐらいなので、JBO対策は学校の勉強が中心でした。資料集など、学校でもらったものを授業と並行して読み込みましたが、JBOに向けた勉強というよりは、自分の興味で資料を読んでいたらJBOにも活きたという感じでした。
JBOの過去問を使った勉強は、試験の直前に1、2年分を解いた程度だったと思います。

Q:周りにもJBO受験者はいましたか?

生物部有志で生物好きだった子や、3つ下の中1から勉強会に参加していた子だったり、私が兼部していた他の部の友人で、勉強会に誘ったらすごく喜んで一緒に受験してくれたりと、10人ほどの受験者がいました。

Q:大学受験に役立ちましたか?

元々は薬学部志望でしたが、JBOへの参加は医学部への進学を意識する一つのきっかけになりました。AOについても、できるならやってみようという感じで応募しました。JBOへの参加は、それまで全く考えていなかった進路に足を踏み入れようとした転機でした。

Q:大学進学(筆記試験)に役立ちましたか?

すごく役に立ちました。私は元々あまり勉強が得意ではなく、大学に行くビジョンもさほど持っていた訳ではありませんでした。当時、たまたま生物に興味を持っていたことで主に生物の勉強をしていましたが、大学受験に関していえばオーバーワークのようなレベルの勉強をさせてもらっていたので、他の科目の勉強に時間割くことができ、それはすごく大きかったと思います。1科目は完成している安心感というか、考察問題を解く時も他の人たちに比べて勉強量が違うと思うので、すごく役に立ったと感じます。
国語に対しても苦手意識がなくなって、こういう話が書きたいんだということが分かるようになり、得意とまでは言えないまでも、苦にはならなくなりました。

Q:JBOに挑戦して良かったことは何ですか?

まず視点が広かったというのが先ずあります。私の高校は進学校と言われている方で、生物に関して私はけっこう頑張っていて、自分賢いって思っていましたが(笑)、JBOを高1の時に受けて惨敗したり、高校2年生でいざJBOの本選出場したら「家で爬虫類を飼ってますよ」っていう子や「虫をずっと飼ってます」という子など、あらゆる生物好きが集まっていて「あぁ私よりだいぶ凄い人たちがいっぱいいるんだ」ということを感じたり、中学生で本選に出場してみんなを圧倒していく子がいたりして、「私が見ていた世界は小さすぎたな」と感じました。
JBO本選中は、本当に楽しかった思い出がすごく強くて、配られたDNAトランプを使ってみんなで徹夜して、永遠にババ抜きをしたり…笑
他にも、多くの人と繋がりを持てたということもあります。それこそ本選の時には喋ることができなかった人たちとも、今はSNSが発展していてLINEしかりTwitterしかりFacebookしかりで色々と繋がっているので、「この人はずっとこんなことしてるよ」とか「私はこんなことしてるよ」とかいう情報を発信していて、しんどくなった時とかに、別の人の頑張る様子を見て「私も頑張ろう」という気持ちになれたり、あって凄く良かったコミュニティだなというふうに私は感じてます。

Q:現役挑戦者へのエール!

JBOはマクロ、ミクロ問わずにすごく多くの生物好きと関わることのできる場所だと思います。JBO本選に出場して悪かったことは一切なくて、本選に出場するための予選の勉強も後で絶対に生きる経験で、損だと思ったことは本当に無かったので、是非とも勉強して出場して、いろんな人たちと関わりを持ってもあり、さらに生物への愛を強めてほしいです。

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JBO本選出場者インタビュー:石田晴輝さん

出場者インタビュー, 日本生物学オリンピック

※所属・学年は、2022年1月の取材日現在のものです

石田晴輝さん
所属:
東京大学大学院 薬学系研究科 修士2年
出身:
灘高等学校
出場:
JBO2013 広島JBO2014 つくばIBO2015 デンマーク

Q:今は何をしていますか?

東京大学大学院の薬学系研究科で大学院生として研究をして過ごしています。来年度から博士課程に進学予定で、将来は研究者を目指して頑張っています。

Q:JBOをどうやって知りましたか?

灘中学校に入った時に生物研究部という、中1から高3までが一緒に活動する部活に入っていて、その時に先輩が教えてくれたのがきっかけです。
JBOを受ける人がいて、部としても「他にも挑戦者はいませんか?」という感じの雰囲気があったので、中学3年生の時に初めて挑戦しました。そのときは残念ながら予選で落ちてしまい、その後も高1、高2とJBOに挑戦しました。
高1の時は日本代表候補にまではなりましたが、日本代表には落選しました。翌年の高2のときに日本代表となり、高校3年生の夏にIBOに参加することができました。

Q:どんな勉強をいつからしましたか?

学校の生物の先生にもJBOを受けるということは相談しまして、当時は中学生だったため、高校生向けの生物の教科書をもらいました。個人的にすごく役立ったと感じるのは図説です。教科書だと文章でしか書かれていない部分が多いのですが、図説や図録といったものはイラストが多く載っていたり、教科書には書いていないような細かな情報も載っているものもあるため、細かい知識をカバーしたりイメージで生物学を捉えたりするのに非常に役立ちました。
僕は出版社の図説を色々比較してまして、個人的に気に入ってるのは第一学習者のスクエア最新図説生物NEOです。
代表候補になったときにキャンベル生物学はJBO委員会から貰えたため、高2で受けた時はキャンベルも読んでいましたが、あくまで教科書、図説、JBOの過去問を勉強するという感じでした。
僕が受けたのが2013年頃だったので、まだ過去問の数がそこまで蓄積されておらず、解いても答えを覚えてしまうので、過去問を使った勉強は本番直前に一周解く程度にとどめ、基本的な勉強は過去問以外のものを使っていました。

Q:周りにもJBO受験者はいましたか?

生物研究部の中で生物学オリンピックにかなり力を入れている人たちがいました。その人たちと部内勉強会を開催しており、それが励みになりました。
勉強会の内容は、試験の1、2週間前ごろに先輩がピックアップした過去問を解いてきて、その過程を解説するといったものでした。実際に受験者の立場に立つと、この問題は後に回すべきだ。とか、こういう風に考えて答えを絞っていくのが良い。といった、答えを出すためのプロセスのような情報は、公式の解説には無く掴みづらいことが多いので、受験者目線での問題解説はその勉強会の中で得られた大きなものだったと思います。

Q:受験勉強との両立はどうしましたか?

高校3年生の時はIBOに出場したのもあって、本番に向けてキャンベル生物学をひたすら読んでいました。失礼ながら僕は受験勉強そこまで本腰を入れてやっていなかったこともあり、生物とか化学とか、好きな科目ばかり勉強していました。そういう意味では生物学オリンピックと両立できていたのかもしれません。笑
特に国際生物学オリンピックの直前期は生物の勉強ばかりで、受験勉強は放ったらかしにしていました。

Q:大学受験に役立ちましたか?

受験の入試の問題は高校生レベルの知識を基準に作られているため、知識的な面で生物学オリンピックの勉強が直接役に立ったという印象はありません。しかしながら、生物の入試問題に特徴的な実験考察の問題(実験と結果が出てきて、そこから考えられることを問われる問題)については、実験を自分の手でやった経験があるからこそ、仮説を立てて結果を考察するプロセスに臨場感を持って取り組むことができるようになるため、この点については生物学オリンピックに参加した大きなメリットだと思います。

Q:JBOに挑戦して良かったことは何ですか?

JBOを通じて得られた人との繋がりが一番大きいと思います。
例えば生物学の研究の世界にどういった景色が広がっているのか、大学進学後に自分で勉強した領域の中から見つけるのには限界があると思います。
しかしながら、既に大学にJBOで繋がった同級生や先輩後輩が沢山いることで、その人たちを通じて色んな分野の研究をしている人の話を聞くことができるので、自分の研究に対する見え方や研究の世界の捉え方が大きく広がりました。こういったことはJBOを通じて得られた人との繋がりによるものが一番大きいと思っています。

Q:現役挑戦者へのエール!

なかなか想像が難しいと思いますが、JBO参加者には皆さんが思ってる以上に生き物のことが好きなオタクがたくさんいます。我こそは生物学、生き物好きだという人は特に、全国から生き物好き、生物学好きが集まるJBOでたくさん友達を作ってもらいたいです。
JBOに参加したり、参加に向けて生物学を勉強することで人生が変わると思うので、ぜひ皆さん頑張って挑戦してみてください。

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JBO本選出場者インタビュー:竹本亮太さん

出場者インタビュー, 日本生物学オリンピック

※所属・学年は、2022年1月の取材日現在のものです

竹本亮太さん
所属:
東京大学大学院 薬学系研究科 修士2年
出身:
広島学院中学校・高等学校
出場:
JBO2014 つくばIBO2015 デンマーク

Q:今は何をしていますか?

東京大学大学院薬学系研究科の修士2年で、研究室ではアルツハイマー病とミクログリアの関係について研究をしています。

Q:JBOをどうやって知りましたか?

高校の廊下に貼ってあるチラシに生物学オリンピックや他の科学系のオリンピックとまとめて掲載してあったのと、1つ上、2つ上の先輩方がJBOに出場して学内表彰があったのでこういう大会があるんだなと知りました。高校1年生の頃に先輩の出場を知って、実際に予選を受けたのは高2の夏です。

Q:JBO本選の成績はどうでしたか?

予選と本選とで合わせて金賞ではあったんですが、順位までは覚えていません。その年、高2の3月に代表選抜があり、その次の年に運良く代表になることができたので、翌年度にあたる2015年の夏にIBOデンマーク大会に出場しました。

Q:どんな勉強をいつからしましたか?

受ける時点で高2の春、夏ぐらいだったので、それまでにその生物基礎の内容は学校の授業でやっていて、予選用の勉強としてはまず過去問を自分の持っている知識で解いて、何を言っているのかが分からない部分だけキャンベル生物学っていう大きい教科書を参照して確認して、「あぁこういうのがあるんだ」ということを繰り返していくような形で予選に向けた勉強はやりました。
予選を受けようと思ったのが高1の春ごろなので、高1の3月〜高2の7月頃にかけてのことだったと思います。
予選の勉強については、僕が思う生物学オリンピックの問題の特徴として、受験や学校で扱う内容と比べて知識よりも思考力を重要視する問題が多いと思うので、僕も当時は高校の生物自体、生物基礎程度しか習ってない状態ではありましたが、それでも問題文を読んでしっかり考えれば知識にそこまで自信がない状態でも答えまで辿り着けるようになっていたと思うので、知識量に関してはあんまり自信がなくても、思考力だけで勝負してやるっていう人にも良いのではないかと思います。
思考力の鍛え方については、例えば今回でいうキャンベル生物学のような教科書などを読むときに、ただ字面を追うだけじゃなくて、その文章を書いている人がどういったことを伝えようとしてこの具体例を出しているんだろう?とか、その書き手の意図を考えながら文章を読んだりとか、そこからまた発展して、想像力を膨らませて書いてある内容だけではなくてその裏にあるもの、その先にあるものを自分で考えながら読んでいく癖があると良いのかなと、いま振り返ってみるとそう感じます。

Q:分からない問題はどうしていましたか?

有名どころだと生物学オリンピックの指導が伝統的にあるそうですが、僕の学校はそうでもなく生物の先生も基本的に高校の内容まで。という感じだったので、分からない箇所はJBO委員会が出している解説と教科書で頑張って読んで解消していました。その他には、JBO参加経験者の先輩がいたので、個人的に聞きに行っていたと思います。

Q:周りにもJBO受験者はいましたか?

同級生にはいませんでしたが、1つ上と、さらに1つ上の2人後輩に1人、JBO本選まで行った人がいました。ただし僕の周りの学年だけコンスタントに受験してたような感じで、最近の話を聞く限りはそこまでJBOの受験が活発という話は聞かないので、ちょっと寂しく思います。化学や物理など、自分の好きな科目で出る人はいましたが、たまたま生物は少なかったのだと思います。

Q:受験勉強との両立はどうしましたか?

僕の高校は物理の方が受験で点を取りやすいという風潮があったので、割合としては7割ぐらいは物理選択者だったような気がします。僕自身も生物選択ではなく、生物学の知識を勉強したとしても受験には生かされないので、完全に趣味っていう形でJBOの勉強をやっていました。
両立という意味では、受験勉強自体は息苦しいもので、範囲も決められていて「これができるようにならないといけない」「決められた通りやる」といったことが大事にされているような感じがする一方で、生物学オリンピックの問題はそういった堅苦しさとかよりも自由な発想や自由に考える能力みたいなものを問われていて、そういったものに触れる時間自体は受験勉強とは質の違うものだったので、ある意味息抜きのような形になっていたのかなと思います。なので両立する上ではそこまで凄く大変という感覚はなかったと思います。

Q:大学進学(推薦入試、AOなど)に役立ちましたか?

ちょうど僕の年に東大の推薦入試が導入されましたが、初年度だったこともあって制度が分からなかったことと、東大の進学振り分けの制度に魅力を感じていたので、推薦は受けない選択をしました。
世の中の流れとして、課外活動のようなものが推薦入試などで重要視されいて、僕の身近でも大学2年生の推薦入試で入った学部生の人たちが研究室見学をしに来たり、実験をやったりということが実際にあったので、そういった面でやる気のある学生として大学内でも扱われているように感じているので、生物学オリンピックに出て推薦で入るということは、先生方から見ても凄く好ましいというか、やる気のある印象を持たれるのだと思います。

Q:大学受験(筆記試験)に役立ちましたか?

受験科目としては直接関係することはありませんでしたが、JBOは思考力が問われる問題が多く出題されていたので、文章の読解能力や論理の組み立て方、文章の書き方といった能力といったは生物学オリンピックを通じて鍛えられた部分もあると思っています。そういった基礎的な能力は国語でも英語でも数学でも何にでも生かされるものなのかなと思うので、その点に関してはJBOへの挑戦して良かったと思っています。

Q:JBOに挑戦して良かったことは何ですか?

一番は自分の視野というか見識が広がったことだと思っています。普通に高校生として生活をしていると、自分の高校の中の生徒としか会わないわけですが、JBOの本選に行って東京とか関西といった都会や非常に名前の知れた学校、他にも全国津々浦々から生物が好きという理由で集まってきた優秀かつユニークな人たちと出会って交流することができます。そうした経験を通じて、こんな人もいるんだ。こういうモチベーションを持って頑張ってる人もいるんだ。といった色んな考え方を知ることができて自分のモチベーションに繋がった部分があります。
また国際大会にも出場させていただいたんですが、日本の学生と違って海外の、特にアジア、シンガポールや韓国、中国。欧米などから凄く優秀な学生が、すごくやる気に満ち溢れている様子で、そうした色んなことに積極的な学生とも出会えることができ、そうした経験を通じて「自分ももっとやれるな」とか、いろんな刺激を受けることができました。
さらに、大会を通じて出会った人達とは大学に入ってからも様々な形で話をしたり、交流したりする機会があり、そういう人脈に恵まれたという面でも、JBOに挑戦して良かったと思っています。

Q:JBO本選の思い出を教えてください

宿が一緒だった子の個性というか、勢いが凄くて、初対面なのに毎朝乃木坂の曲で起こされて「なんだコイツは?」と思いましたが、いまでも彼とは同じ東大の医学部の所にいる友達で、最初はすごく変なやつだと思った人とも結構仲良くなれたことが印象的でした。
本選の3泊4日は試験ばかりではなく、選手同士の交流(放っておいても勝手に交流してはいますが)時間がたくさんあったので、みんなでトランプをしたりUNOをしたり人狼をやったり、修学旅行の夜のように遊んだり、普段できないような生物の話を夜中に皆で楽しんだりだとか、シンプルに楽しいイベントだった思い出があります。参加者同士のライバル意識も全然なく、皆普通に「楽しもう」という姿勢で参加していたように思います。

Q:現役挑戦者へのエール!

最初は軽い気持ちで受験をした生物学オリンピックでしたが、いま振り返っても確実に自分の人生を変える経験だったと思います。JBOの勉強を通じて知識や思考力が鍛えられることに加えて、本選で高校生の時点で生物が好きという共通点を持った全国の優秀な友人が得られるというのは本当に貴重な経験だったと思います。ですので皆さんも本選出場を目指して、楽しみながら頑張ってください。

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JBO本選出場者インタビュー:前田智大さん

出場者インタビュー, 日本生物学オリンピック

※所属・学年は、2022年1月の取材日現在のものです

前田智大さん
所属:
株式会社Mined 代表取締役
出身:
灘高等学校、Massachusetts Institute of Technology Electrical Engineering
出場:
JBO2010 つくばJBO2011 広島IBO2012 シンガポール

Q:今は何をしていますか?

今は起業家で、スコラボという子供向けのオンラインのライブ授業のマーケットプレイスを作っています。今のいわゆるプラットフォーム授業が始まったのは2020年の8月なので、大体半年前からになります。
教育自体には昔から関心はありましたが、24歳ごろまでは研究者になろうと思っていましたが、修士の一年が終わった頃に、もう少し実社会と結びついた領域でインパクトを多くすることをしたいということで、起業家になろうと決めました。
もちろん研究が実社会に結びついてない訳ではありませんが、社会実装へのサイクルに時間がかかるので、自分の性格からすると起業家の方が向いてるなと思い、起業家へと考え方が変わりました。

Q:JBOをどうやって知りましたか?

中学3年の頃、学校にあったポスターで知りました。生物の先生も興味があれば出たら良いのではないかと話しており、中3の夏と高1の夏に応募して本選にも参加しました。

Q:JBO本選の成績はどうでしたか?

中3のときは銅賞、高1は金賞で、その年度の選抜試験で選ばれて日本代表となり、翌年のIBOシンガポール大会に出場しました。

Q:IBOでのエピソードを教えてください

妻と出会いました。彼女はウクライナからの代表でIBOに来ていて、大学3年生のころにアメリカで近くの大学同士になって。ということで、何から何まで生物学オリンピックのお世話になってるっていう感じです。笑

Q:どんな勉強をいつからしましたか?

中3のときは生物オリンピックの存在を知ってからキャンベル生物学を一周読みました。結構重かったんですけど(笑)頑張って読んで臨みました。
あとは通学時間が電車で毎日大体3時間半ほどあったので「利己的な遺伝子」であったりとか生物系の有名なポピュラーサイエンス系の本は多く読んでました。
量としてはジャンル問わず読んでいたので、恐らく年間に7,80冊ぐらい読んでいて、その4分の1ぐらいがおそらく生物系の本だったなので、20冊ほどだったと思います。
学校の教科書は本当に開けたことがないぐらいで、過去問は試験前に多少解いたぐらいなんですけれども、当時はそんなに過去問が公開されていなかったので、2年分も解いたらもう何もやることない状態でした。
実は中3の本線が終わってから高1の間までは全くまた生物の勉強をしていなかったのですが、あの本は読み続けていたので、そこで色々バックグラウンドの知識がついたのと、論理の部分が強くなったので、生物学オリンピックに必要な力はめちゃくちゃ鍛えられたと思います。

Q:周りにもJBO受験者はいましたか?

私の学年にはいませんでした。1個上の先輩にはいましたが、生物部でもなかったのでその先輩との関わりはなく、一人で黙々とキャンベル生物学を読んで勉強するというスタイルでした。

Q:受験勉強との両立はどうしましたか?

そもそも中高一貫で、生物学オリンピックへの参加も中3から始まってIBOが高2の夏だったので受験勉強と重なる時期はありませんでした。そのため両立をする必要がなかったというか、受験勉強で忙しくなる前に生物学オリンピックが終わったっていう形でした。

Q:大学受験(筆記試験)に役立ちましたか?

日本では東大を受けたんですけれども、東大の受験勉強と生物学オリンピックの受験勉強はかなり相性がいいなと思います。
生物オリンピックの勉強をやっていれば東大の生物でも似た系統の問題が出るので、生物で東大受験するんだったら生物学オリンピックに参加して遠回りになることは無いと思います。

Q:大学進学(推薦入試、AOなど)に役立ちましたか?

海外の大学への受験はAO的な要素が多いので、その中ではIBOでの銀メダルは一番強い武器となりました。例えばMITだと国際生物学オリンピックに出ていると一つの秀でた実績として認められるので、かなり大きな武器というか一本の軸としてアピールしやすいものができたと思っています。

Q:大学受験に役立ちましたか?

めちゃくちゃ役だったと思うというか、基本的に生物学オリンピックの勉強をしていると東大とかの試験では、生物は何も対策しなくてもスラスラ解けるようにはなりました。
生物学オリンピックの勉強を通じて根本的な思考力が鍛えられているのと思うので、間接的な効果もあると思っていて、細かい覚える部分であったりとか、実際に問題を解く部分では化学は半分ぐらい良い影響を感じた一方で数学とかちょっと遠いように感じました。

Q:JBOに挑戦して良かったことは何ですか?

生物を楽しんで学んでいる人達と出会えたことが一番大きいことだと思っていて、同世代で本当に楽しそうに生物について好奇心をフルに発揮して学んで、色々な疑問を研究者に当てるような子達を見ると、自分もまだまだだなと感じることが多かったです。
同世代だけでなく、実際にライフワークとして研究者の方々、JBOの先生方と会うとピュアに学問を楽しんでるんだなっていうのを感じられたので、学校で学ぶ「これとこれとこれで覚えろ」みたいなものとしてではなく、ピュアに「これを知りたい」と思って楽しんで学んでいる方々と出会えたのが一番大きなことだと思っています。

Q:現役挑戦者へのエール!

楽しむことが一番だと思います。私自身も楽しむことが生物学オリンピックで成功する一番のコツだと思っているので、あまり試験とかで身構えずに、目の前にある現象や知識に対して不思議に感じる気持ちを忘れずに、楽しみながら生物学オリンピックに挑んでいただければと思います。

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JBO本選出場者インタビュー:若林勇太さん

出場者インタビュー, 日本生物学オリンピック

※所属・学年は、2022年1月の取材日現在のものです

若林勇太さん
所属:
東京大学 農学部 獣医学専修 3年
出身:
石川県立金沢泉丘高等学校 理数科
出場:
JBO2017 広島JBO2018 東京

Q:JBOをどうやって知りましたか?

私は2年生から受けたのですけれど、生物担当の先生と、1年の時のクラスメイトで受けていた人がいて、彼らから勧められて受けたっていう感じです。先生が授業でおっしゃっていたのと、私の高校は特に、理数科だからっていうのもあるのですが、1年生の時に、科学グランプリとか物理チャレンジとか、いくつかあるそういったもの中で、何かひとつ、できれば参加してほしいというふうな形だったのです。1年生の時は科学グランプリの方を受けたのですが、2年生、3年生で生物学オリンピックの方を受けました。本選に出場したのは同じく、高校2年、3年両方です。

Q:どんな勉強をいつからしましたか?

高校は、1年生で生物の授業が終わるというカリキュラムでした。そこで、友達から、「JBOを受けてみたら?」と勧められまして。生物の成績は良かったので、1年生の3月くらいにJBOの過去問を解いてみて、「結構解けるな」と思いました。あとは過去問を解きつつ、個人的には植物があまり得意ではなかったので、まあ、今も獣医学部ですので植物は全然よく分かってないのですけど(笑)、その辺は教科書を確認するようにしました。生物の授業では全範囲網羅されていませんでしたので。教材は、高校で指定される教科書と資料集です。問題集も、いわゆる普通に定期試験で範囲を指定されて勉強するような、そういったもので対応できていたと思います。キャンベルは、予選を受けるためには読んでいないです。量的にも多いですし。2年生の時に、翌年度の国際大会の代表候補になりましたので、その際にキャンベルを頂きました。まあ、代表にはなれませんでしたけど(笑)。キャンベルは、全部読み切ったかというと、いまだに全部読み切っていないです。細々と読んでいるっていう感じですね(笑)。ほぼ過去問で対策しましたので、かなり勉強はやったと思います。分からないことはまず高校の先生に聞いて、それでも解決しないときは粘って調べてみるっていう感じでした。

Q:周りにもJBO受験者はいましたか?

毎年何人か高校で受けていました。本選に進んだ人は恐らく、私が高校にいた間は私一人だったのではないか、と思います。特に、高3の年になりますと、私は生物部に所属していましたので、部員の1、2年生に「出よう、出よう!」って勧めていました。一緒に勉強会などもしていましたが、なかなか本選に進める人は出ませんでした。去年、一昨年は出ていましたね。勉強会の頻度は、別にそんなに多くありませんでした。予選前に高校の試験がありましたので、試験と予選前の間に何日間かありましたので、そこで実施していました。生物学の教室がありましたので、そこで分からない問題を教え合ったり、先生に解説を聞いたり、そんな形でした。

Q:受験勉強との両立はどうしましたか?

私は物理化学選択予定でしたので、生物は細々とやる感じでした。両立できたかって言われますと、そんなに生物を重点的にやっていなかったっていうのが、正しいような気がします。試験期間中は、生物の方はほとんど触りませんでした。運動部で部活に打ち込んでいる人からすれば、大した量でもなかったです。

Q:大学進学(推薦入試、AOなど)に役立ちましたか?

一応推薦で受かっていますので、役立っている可能性はあるのですが、大学側が果たしてどこまで評価してくれたかは、こちらでは分からないですね。東大の推薦ですと、金賞の方とか国際大会に出た方とかって、たくさんいらっしゃいましたので(笑)。理数科って課題研究がカリキュラム上必修になっていまして、それを結構長い間続けていましたので、それで書いた論文というか小論文を提出しました。面接については、「進学後何がしたいか」という話が中心で、「何をしてきたか」っていうのは、あまり聞かれなかったような気がします。

Q:JBOに挑戦して良かったことは何ですか?

地方在住ですと、普段、都会の中高一貫校とか、国公立でも日比谷高校とか有名な高校や、私立の進学校などとの接点がないので、そういう人たちと出会う機会があったというのは、受験のモチベーションに繋がったと思います。当時会った人の中には、いまだに連絡を取り合っている人もいますし。ちょこちょこ一緒に話すぐらいの友達や、いろいろと詳しい話ができる友達ができるかなと思います。

Q:現役挑戦者へのエール!

自分と興味の近い相手に会える機会っていうのは、特に地方在住だとなかなかないと思いますので、この機会をぜひ有意義に使って、挑戦してみるといいのではないかなと思います。頑張ってください!

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JBO本選出場者インタビュー:長谷川修造さん

出場者インタビュー, 日本生物学オリンピック

※所属・学年は、2022年1月の取材日現在のものです

長谷川修造さん
所属:
東京大学 理科三類 1年
出身:
灘高等学校
出場:
JBO2017 広島JBO2018 東京IBO2019 ハンガリー

Q:JBOをどうやって知りましたか?

僕は中高と生物研究部に所属していて、先輩方がJBOに参加されていたのと、部活の中で、参加費無料ということもあり、皆で応募しようという感じでしたので、参加しました。JBOに参加したのは中学2年生からです。予選を受けたのは中2から高1までの3年間です。本選に出場したのは中3と高1です。中3の時は、受賞等は何もなくて、高1の時が金賞でした。高2の時にIBO(国際生物学オリンピック)に行きました。開催国はハンガリーでした。

Q:IBOでの経験はどうでしたか?

めちゃくちゃ面白かったですけど、もう、成績が悪くて。微妙な泣き顔の、半分泣いているみたいな写真がありました。でも英語ができなくても、皆さんすごく話を聞いてくれるので、結構いろんな国の人と喋れて、すごく面白かったです。テストの方が短いぐらいでした。

Q:どんな勉強をいつからしましたか?

部活で、何度か問題が出ていましたし、先輩が教えて下さる時間みたいなのもありましたので、週1で生物のことを教わるみたいな感じと、あとは5月位から、皆で集まって過去問を解いたりしていました。勉強には大体、過去問と学校から貰える数研出版と第一学習社の生物図録を使っていました。中学の時に最初に貰ったのが数研出版の生物図録で、高校で貰ったのは第一学習社のスクエア最新図説生物で、どちらも良かったです。
キャンベルはあまり本選出場までは使わなくて、どちらかというと、代表選考とかそれ以降で役に立ちました。教科書を読みこんだみたいな事は、あまりしなかったです。予選問題が、知識というよりは、思考力を求めるみたいなところが結構ありましたので、問題に書いてあることが理解できるぐらいの知識があれば、思考力でなんとかなるという所はあったと思います。

Q:受験勉強との両立はどうしましたか?

予選の問題を解いているのが楽しい感じなので、他の勉強時間をすごく削ってまでJBOの勉強をやるということではなかったです。部活動の一環とか放課後とかでやっていましたので、受験勉強との両立は、まあ、どうにかできていたと思います。

Q:大学進学(推薦入試、AOなど)に役立ちましたか?

自分は推薦ではなかったので分からないですけど、多分どこの大学にもあると思うのですが、調査書とかにそういう事(受賞歴など)を書くところがありますので、そういうところに書けることがあるっていうのは、記載することがないよりは、多分すごい印象も良いと思いますので、役には立つのだと思います。

Q:大学受験(筆記試験)に役立ちましたか?

生物、化学など理系科目で絶対に影響はあると思います。生物の問題に対する、言語化の能力は、JBOを経てすごく上がったと思います。

Q:JBOに挑戦して良かったことは何ですか?

まず、すごく生物学が好きな人同士が、集まる機会っていうのが、JBOの本選でもない限りそうそうないと思います。自分への刺激になりましたし、採集とか研究とかされている方も結構いらっしゃいましたので、そうですね、自分が生物学をやる上で、すごく励みになりました。

Q:現役挑戦者へのエール!

生物学が好きな人同士で集まれるっていう機会は、多分、中高生で、そんなにないですし、実際に本選に出てみたら、すごく色々な人と話ができて、めちゃくちゃ面白かったです。予選も、思考力とかすごく難しい部分がありますけど、ぜひ頑張ってください!

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