筑波の最前線ー最先端研究体験 2012

1.細胞生物学(中野 賢太郎 先生、高稲 正勝 先生)「細胞骨格をみてみよう」

    筋肉の主要成分であるアクチンやミオシンは、ほとんど全ての細胞で発現していて、細胞の分裂や細胞内の物質輸送などに大切な働きをしています。これらが形成する細胞骨格の働きについて、分裂酵母の突然変異株やGFP 発現株を用いて調べます。また余裕があれば、繊毛虫のテトラヒメナも観察してみます。顕微鏡観察に興味がある方、大歓迎です。

2.分子細胞生物学(千葉 智樹 先生、鶴田 文憲 先生)「マウスの細胞を培養してみよう」

    近年の医学薬学の発展に動植物の初代細胞培養実験は多大な貢献をしてきました。本体験では、マウス胎児から組織を摘出し、そこから培養を行う実験を経験してもらいます。また動物実験に対する倫理的な側面についても説明していきます。

3.化学生物学(臼井 健郎 先生)「薬剤(抗がん剤など)の作用を観察しよう」

    私たちの健康を守るため、これまでに数多くの薬が開発されています。今回は微小管系に作用する抗がん剤などを用いて、これらの薬剤が動物細胞にどのような作用を与え、その結果、どのようにがん細胞を死滅させているのかを観察します。

4.分子生物学(谷本 啓司 先生)「ゲノミックインプリンティング ~両親から受け継ぐDNA以外の情報~」

    マウスのゲノムDNAについて、PCRや制限酵素処理などの基礎的な実験を組み合わせて解析を行い、 その結果の解釈を通して、ゲノム情報生物学における遺伝学とエピジェネティクスの意味について考察します。

5.ゲノム生物学(毛利 蔵人 先生、桑山 秀一 先生)「細胞性粘菌の運動と発生の観察」

    単細胞アメーバでありながら多細胞体を構築してしまう細胞性粘菌を高性能顕微鏡にて観察します。アメーバが動いている様子を動画撮影したり、単細胞から多細胞への形成過程を自分の目で見ることにより、生きている細胞がどんなものかを体感してもらいます。

6.進化遺伝学(澤村 京一 先生)「ショウジョウバエを例として、種とは何かを考える」

    種とは何かというのは哲学的にも難しい問題です。形態が違えば、別種なのでしょうか?中には見た目では区別できないのに、子孫を残すことができないものもあります。ここではショウジョウバエを例にして、実際に種を区別してもらい、いろいろな観点からショウジョウバエの種を分けてみます。

7.水圏生態学(和田 茂樹 先生、濱 健夫 先生)「水の生態学~一次生産者を見てみよう!~」

    海・河川・湖などの水域に生息し、光合成を行うことにより物質循環を支える一次生産 者には、植物プランクトンや海藻がいます。今回は、色素によって群集組成を識別する フローサイトメトリーを使って、これら一次生産者の多様性をみてみます。

8.植物分子生理学(新家 弘也 先生、蓑田 歩 先生)「微細藻類の環境応答-ヘテロシストの分化・ゲノム再編成-」

    酸素発生型光合成を営むラン藻の中には、ニトロゲナーゼという酵素により、空気中の窒素を還元することで、生存するグループが存在します。しか、この酵素は酸素に弱く、窒素固定と酸素発生型光合成を同時に行うために、ある種のラン藻は窒素固定をするための特有の細胞(ヘテロシスト)を作りだしました。ゲノム再編成により、このヘテロシストでのみニトロゲナーゼが発現します。この現象を顕微鏡観察とゲノムDNAのPCR解析により考察します。

9.植物分子生物学(三浦 謙治 先生) 「植物における環境ストレス応答」

    動くことのできない植物は様々な環境ストレスに対処するメカニズムを発達させています。今回は植物の環境ストレス応答に関わる遺伝子の発現様式を緑色蛍光タンパク質(GFP)やレポーター(GUS)を用いて、光学顕微鏡、蛍光顕微鏡により観察してみます。

10.植物バイオテクノロジー学(小野 道之 先生) 「青紫色カーネーションを解析する」

    遺伝子組換えにより作出された市販の青紫色のカーネーションを材料として、遺伝子組換えされた遺伝子領域をPCRと電気泳動により解析します。また、新しい花色・花形等を開発中のアサガオの観察や、遺伝子組換え作物を巡る国際状況の話などもします。

11.微生物学(桑原 朋彦 先生)「発酵細菌-メタン菌」

    無機物を有機物にする反応でエネルギーが得られるって,逆じゃないの?と思ったあなた,正しく高校の化学/生物学を学習しています。しかし,メタン菌にはそれができるのです。メタン菌と発酵細菌との水素共役栄養共生について学びます。

12.植物系統分類進化学(石田 健一郎 先生、中山 剛 先生、井上 勲 先生)「電子顕微鏡で微細藻類をみてみよう!」

    シアノバクテリアが獲得した酸素発生型光合成という機能は、共生によって真核生物にも受け継がれ、さらに真核生物同士の共生によってさまざまな藻類が誕生しました。海や池の中には、そういう藻類が生きています。今回は、主に電子顕微鏡を使ってさまざまな微細藻類を観察します。

13.植物寄生菌学(山岡 裕一 先生)「植物寄生菌の採集と観察」

    菌類は、分解者として腐生生活しているだけでなく、他の生物と共生して生活するものも多数存在します。今回は、植物に寄生して病気を起こす菌類や相利共生して菌根を形成する菌類を採集し、光学顕微鏡による形態観察をしてみます。

14.神経生物学(千葉 親文 先生)「イモリの体再生を観察しよう」

    イモリは体再生のチャンピオンです。再生研究の現場を体感する目的で、イモリの再生を誘導する外科手術を体験したり、再生芽や再生途中の組織を実際に観察したりします。

15.生物物理学(中谷 敬 先生) 「脳の情報処理を観察しよう」

    脳はたくさんの神経細胞がシナプスでつながったネットワーク構造をしています。光,音,におい,味などの感覚情報は,脳内ネットワークで情報処理を受け「知覚」として生物に認知されます。脳科学のモデル生物である昆虫を材料として,脳がどのような情報処理をおこなっているか,電気生理学的手法(パッチクランプ法など)を用いて観察します。

16.発生生物学(丹羽 隆介 先生)「生物の形づくりに必要な遺伝子の発現を目で見てみよう」

    多細胞生物が卵から適切に形作られるためには、様々な遺伝子が決まった時期に決まった場所で発現することが必須です。モデル生物であるキイ ロショウジョウバエを材料として、体を作り上げるために必要な遺伝子がいつどこで発現しているのか、分子生物学の手法を用いて観察してみます。

17.動物系統分類学(本多 正尚 先生)「カメの解剖と骨格標本」

    カメは甲羅という特殊な構造に守られているが、れっきとした脊椎動物です。では、背骨はいったいどこにあるのでしょうか。実際にカメを解剖して背骨を確認し、カメの特殊な構造を観察してみます。

18.系統進化学(橋本 哲男 先生、神川 龍馬 先生)「生命の樹: 生物界全体の系統樹を描こう」

    ヒトを含む地球上の全ての生物は共通の祖先細胞から進化してきました。したがって全ての生物は1つの巨大な系統樹のいずれかの枝に位置づけられます。遺伝子の配列データをもとに、確率統計の計算手法を使って生物界全体の系統樹を描いてみます。

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