日本生物学オリンピック 2017 予選

日本生物学オリンピック2017 予選が全国の会場で 7/16 に実施されました

    3,849名(女性:2,099名、男性:1,750名)が日本生物学オリンピック2017 予選に挑戦しました。

    予選での各人の成績は8月中旬以降に郵送される予定です。

    本選参加資格者80名の受験番号のリストを受験申し込み受け付け後にお知らせしたウェブアドレスのページに掲載しています。本選受験資格者および補欠者は 郵送される書類をよく読んで、本選受験について必要な手続きをしてください。

出題された問題と正解・解説

代表的な問題

    問4)伝統的な清酒造りの工程では,開放系の桶に麹菌を生育させた蒸し米と水を加え,5℃程度の低温からゆっくりとかき混ぜながら少しずつ温度を上げていく。麹菌は水を加えた時点で死滅するが,麹菌が分泌したアミラーゼにより蒸し米のデンプンが徐々に糖分に分解されていく。発酵桶は深く,どろどろしているので,開放系であっても酸素はすぐに使い切られてしまう。1か月ほどの間にさまざまな微生物が変遷していくが,以下に示す4種類の微生物はどのような順番で優占するだろうか。正しい順を示しているものをA~Lから選べ。(5点)

    ① 清酒酵母:唯一の真核生物であり生育が遅い。糖分を分解してエタノールを生成するアルコール発酵を行う。アルカリ性環境に弱いが,酸性環境には非常に強い。酸素がある環境でも酸素のない嫌気性の環境でも生育可能である。

    ② 枯草菌:生育が早く,耐熱性の胞子を形成する。生育に酸素を必要とする好気性細菌である。アルカリ性の環境には比較的強いが,酸性環境に弱い。亜硝酸などの抗菌性を有する化学物質に対して感受性が高い。

    ③ 乳酸菌:糖分を分解して乳酸を生成する乳酸発酵を行う。酸素があるとほとんど乳酸発酵を行わない。アルコールに弱い。

    ④ シュードモナス属細菌:生育に酸素を必要とする好気性細菌だが,酸素がなくなると代わりに硝酸を電子受容体としてもちいる硝酸還元能をもつものが多い。中性付近のpHを好む。

    A.②→①→④→③  B.②→③→④→①   C.②→④→①→③  D.②→④→③→①
    E.③→①→④→②    F.③→②→④→①   G.③→④→①→②  H.③→④→②→①
    I. ④→①→②→③    J.④→②→①→③   K.④→②→③→①  L.④→③→②→①

     

    問9)ヒトの赤血球中に存在するヘモグロビンは酸素分子と可逆的に結合する。酸素が結合したヘモグロビンをオキシ型ヘモグロビン,酸素が結合していないものをデオキシ型ヘモグロビンとよぶ。また,筋肉中には酸素分子と可逆的に結合するミオグロビンが存在する。

    図はミオグロビン(曲線1)およびさまざまな条件下におけるヘモグロビンの酸素解離曲線を示したものである。赤血球から単離精製したヘモグロビンの酸素解離曲線(曲線2)は,赤血球中のヘモグロビン(曲線3)とは異なっている。これは,赤血球中に存在する2,3-ビスホスホグリセリン酸(2,3-BPG)がデオキシ型のヘモグロビンに結合し,酸素に対する親和性を変化させるためである。また,平地に住む人が高地に移動したとき,数日で2,3-BPG の濃度が変化し,赤血球内におけるヘモグロビンの酸素解離曲線に急激な変化が生じることが知られている(曲線4)。

        

     次の記述のうち,図から導き出される考察として正しいものはどれか。もっとも適当な組合せをA~Jから選べ。ただし,肺胞中の酸素分圧は,平地で100 mmHg,高地で55 mmHgとし,末梢の酸素分圧はいずれも30 mmHgとする。なお,二酸化炭素分圧やpHの影響,血中ヘモグロビンの濃度変化は考慮しなくてよい。(5点)

    ① 平地に住む人の赤血球中のヘモグロビンは,肺胞から末梢に移動する際に約10%の酸素を手放す。
    ② 単離ヘモグロビンはミオグロビンよりも酸素分子に強く結合する。
    ③ 2,3-BPGはヘモグロビンの酸素親和性を低下させる。
    ④ 高地に住む人では,平地に住む人にくらべて,ヘモグロビンが末梢で放出する酸素が多い。
    ⑤ 高地に住む人の赤血球中には,平地に住む人よりも2,3-BPGが多く存在している。

    A.①②  B.①③  C.①④  D.①⑤  E.②③  F.②④  G.②⑤  
    H.③④  I. ③⑤  J.④⑤

     

    問17)下の表は,ある地方に分布する 4 地点の自然林(植生①~④)について,その植生を調査し,構成する種(ア種~シ種)とそれらの被度(同種の植物が地表面をおおっている割合)を調べた結果を示したものである。表中の数字は,被度を 5 段階の階級に分けており,1 は被度がもっとも小さく,5 は被度がもっとも大きいことを表す。また,表中の①~④の植生は成立時期が異なり,この地方の植生の遷移の段階を示していると考えられる。

        

    表の①~④の植生を,遷移の順序にしたがって並べかえるとどうなるか。もっとも適当なものをA~Lから選べ。(4点)

    A.①→②→④→③    B.①→③→②→④    C.①→④→②→③
    D.②→①→③→④    E.②→③→①→④     F.②→④→③→①
    G.③→①→④→②    H.③→②→④→①    I. ③→④→②→①
    J. ④→①→③→②   K.④→②→①→③    L.④→③→①→②

 

得点分布

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