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JBO本選出場者インタビュー:竹本亮太さん

※所属・学年は、2022年1月の取材日現在のものです

竹本亮太さん
所属:
東京大学大学院 薬学系研究科 修士2年
出身:
広島学院中学校・高等学校
出場:
JBO2014 つくばIBO2015 デンマーク

Q:今は何をしていますか?

東京大学大学院薬学系研究科の修士2年で、研究室ではアルツハイマー病とミクログリアの関係について研究をしています。

Q:JBOをどうやって知りましたか?

高校の廊下に貼ってあるチラシに生物学オリンピックや他の科学系のオリンピックとまとめて掲載してあったのと、1つ上、2つ上の先輩方がJBOに出場して学内表彰があったのでこういう大会があるんだなと知りました。高校1年生の頃に先輩の出場を知って、実際に予選を受けたのは高2の夏です。

Q:JBO本選の成績はどうでしたか?

予選と本選とで合わせて金賞ではあったんですが、順位までは覚えていません。その年、高2の3月に代表選抜があり、その次の年に運良く代表になることができたので、翌年度にあたる2015年の夏にIBOデンマーク大会に出場しました。

Q:どんな勉強をいつからしましたか?

受ける時点で高2の春、夏ぐらいだったので、それまでにその生物基礎の内容は学校の授業でやっていて、予選用の勉強としてはまず過去問を自分の持っている知識で解いて、何を言っているのかが分からない部分だけキャンベル生物学っていう大きい教科書を参照して確認して、「あぁこういうのがあるんだ」ということを繰り返していくような形で予選に向けた勉強はやりました。
予選を受けようと思ったのが高1の春ごろなので、高1の3月〜高2の7月頃にかけてのことだったと思います。
予選の勉強については、僕が思う生物学オリンピックの問題の特徴として、受験や学校で扱う内容と比べて知識よりも思考力を重要視する問題が多いと思うので、僕も当時は高校の生物自体、生物基礎程度しか習ってない状態ではありましたが、それでも問題文を読んでしっかり考えれば知識にそこまで自信がない状態でも答えまで辿り着けるようになっていたと思うので、知識量に関してはあんまり自信がなくても、思考力だけで勝負してやるっていう人にも良いのではないかと思います。
思考力の鍛え方については、例えば今回でいうキャンベル生物学のような教科書などを読むときに、ただ字面を追うだけじゃなくて、その文章を書いている人がどういったことを伝えようとしてこの具体例を出しているんだろう?とか、その書き手の意図を考えながら文章を読んだりとか、そこからまた発展して、想像力を膨らませて書いてある内容だけではなくてその裏にあるもの、その先にあるものを自分で考えながら読んでいく癖があると良いのかなと、いま振り返ってみるとそう感じます。

Q:分からない問題はどうしていましたか?

有名どころだと生物学オリンピックの指導が伝統的にあるそうですが、僕の学校はそうでもなく生物の先生も基本的に高校の内容まで。という感じだったので、分からない箇所はJBO委員会が出している解説と教科書で頑張って読んで解消していました。その他には、JBO参加経験者の先輩がいたので、個人的に聞きに行っていたと思います。

Q:周りにもJBO受験者はいましたか?

同級生にはいませんでしたが、1つ上と、さらに1つ上の2人後輩に1人、JBO本選まで行った人がいました。ただし僕の周りの学年だけコンスタントに受験してたような感じで、最近の話を聞く限りはそこまでJBOの受験が活発という話は聞かないので、ちょっと寂しく思います。化学や物理など、自分の好きな科目で出る人はいましたが、たまたま生物は少なかったのだと思います。

Q:受験勉強との両立はどうしましたか?

僕の高校は物理の方が受験で点を取りやすいという風潮があったので、割合としては7割ぐらいは物理選択者だったような気がします。僕自身も生物選択ではなく、生物学の知識を勉強したとしても受験には生かされないので、完全に趣味っていう形でJBOの勉強をやっていました。
両立という意味では、受験勉強自体は息苦しいもので、範囲も決められていて「これができるようにならないといけない」「決められた通りやる」といったことが大事にされているような感じがする一方で、生物学オリンピックの問題はそういった堅苦しさとかよりも自由な発想や自由に考える能力みたいなものを問われていて、そういったものに触れる時間自体は受験勉強とは質の違うものだったので、ある意味息抜きのような形になっていたのかなと思います。なので両立する上ではそこまで凄く大変という感覚はなかったと思います。

Q:大学進学(推薦入試、AOなど)に役立ちましたか?

ちょうど僕の年に東大の推薦入試が導入されましたが、初年度だったこともあって制度が分からなかったことと、東大の進学振り分けの制度に魅力を感じていたので、推薦は受けない選択をしました。
世の中の流れとして、課外活動のようなものが推薦入試などで重要視されいて、僕の身近でも大学2年生の推薦入試で入った学部生の人たちが研究室見学をしに来たり、実験をやったりということが実際にあったので、そういった面でやる気のある学生として大学内でも扱われているように感じているので、生物学オリンピックに出て推薦で入るということは、先生方から見ても凄く好ましいというか、やる気のある印象を持たれるのだと思います。

Q:大学受験(筆記試験)に役立ちましたか?

受験科目としては直接関係することはありませんでしたが、JBOは思考力が問われる問題が多く出題されていたので、文章の読解能力や論理の組み立て方、文章の書き方といった能力といったは生物学オリンピックを通じて鍛えられた部分もあると思っています。そういった基礎的な能力は国語でも英語でも数学でも何にでも生かされるものなのかなと思うので、その点に関してはJBOへの挑戦して良かったと思っています。

Q:JBOに挑戦して良かったことは何ですか?

一番は自分の視野というか見識が広がったことだと思っています。普通に高校生として生活をしていると、自分の高校の中の生徒としか会わないわけですが、JBOの本選に行って東京とか関西といった都会や非常に名前の知れた学校、他にも全国津々浦々から生物が好きという理由で集まってきた優秀かつユニークな人たちと出会って交流することができます。そうした経験を通じて、こんな人もいるんだ。こういうモチベーションを持って頑張ってる人もいるんだ。といった色んな考え方を知ることができて自分のモチベーションに繋がった部分があります。
また国際大会にも出場させていただいたんですが、日本の学生と違って海外の、特にアジア、シンガポールや韓国、中国。欧米などから凄く優秀な学生が、すごくやる気に満ち溢れている様子で、そうした色んなことに積極的な学生とも出会えることができ、そうした経験を通じて「自分ももっとやれるな」とか、いろんな刺激を受けることができました。
さらに、大会を通じて出会った人達とは大学に入ってからも様々な形で話をしたり、交流したりする機会があり、そういう人脈に恵まれたという面でも、JBOに挑戦して良かったと思っています。

Q:JBO本選の思い出を教えてください

宿が一緒だった子の個性というか、勢いが凄くて、初対面なのに毎朝乃木坂の曲で起こされて「なんだコイツは?」と思いましたが、いまでも彼とは同じ東大の医学部の所にいる友達で、最初はすごく変なやつだと思った人とも結構仲良くなれたことが印象的でした。
本選の3泊4日は試験ばかりではなく、選手同士の交流(放っておいても勝手に交流してはいますが)時間がたくさんあったので、みんなでトランプをしたりUNOをしたり人狼をやったり、修学旅行の夜のように遊んだり、普段できないような生物の話を夜中に皆で楽しんだりだとか、シンプルに楽しいイベントだった思い出があります。参加者同士のライバル意識も全然なく、皆普通に「楽しもう」という姿勢で参加していたように思います。

Q:現役挑戦者へのエール!

最初は軽い気持ちで受験をした生物学オリンピックでしたが、いま振り返っても確実に自分の人生を変える経験だったと思います。JBOの勉強を通じて知識や思考力が鍛えられることに加えて、本選で高校生の時点で生物が好きという共通点を持った全国の優秀な友人が得られるというのは本当に貴重な経験だったと思います。ですので皆さんも本選出場を目指して、楽しみながら頑張ってください。

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